No.3

ヘリコプターのことだったり、写真のことだったり、救急のことだったり。

昔話

前の回で話した話題について昔話をちょろっとしたいなぁ…と思いブログを書かせて頂きます。

※当時の記録が一部抜けてしまっているので散水量などの情報は正しくない場合があります。

 

調べると色々分かってしまいますが、具体的な場所と時間は伏せさせて頂きます。

 

これはとある大規模火災の話…

現場は産業廃棄物処理場でした。 出火から10日ほど燃え続け、県内外で広域消防援助隊を組み、消火にあたる程大きな火災でした。

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1日目(だったはず…)に来県した隣県の航空隊(本県は定期整備の為出動不可)

隣県から応援が出た話を聞いて火災の大きさを実感した日でもありました。

 

それから2日経った頃に私は現場に入りました。

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現場から10キロほど離れた所でも黒煙上昇が見えるほど延焼していました。

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8:30ごろに現地入り

写真に小さく写っているのは県内全域から集結した消防車

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9:30ごろに応援の航空部隊が到着

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最初は管轄消防本部、広域支援隊大隊長以下数名を乗せた状況確認からのスタートでした。
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余談ですがこのLZは100m×40m程で、実際立ってみると本当にここにヘリを降ろすのかと思うほど狭い所でした。(付近に木が生えてる為余計に)ここに機体を降ろしてしまうパイロットさん凄いですね…

 

偵察後はLZを公園から河川敷に変更するということで移動をしました。

 

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LZに到着後1番最初に飛来したのはふくしまでした。

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吸水管と取り付け後離陸、吸水管は人の手で離れるまで保持します。

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吸水中の一コマ 一回の散水で約400〜5・600L撒いたようです。

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ふくしま帰投後再度他県応援に備えるフライトサービス(安全管理)

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その後飛来した埼玉のあらかわ2
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1回の散水で約300〜500Lを撒いてました。

ランディングギアがある機体に消火タンクを付けた場合は地上高が非常に低くなるので、タンク下を確認しながら離発着してるようです。f:id:inaka_sodachi:20210122154649j:image

あらかわ2の帰投後、おおるりが飛来。

同様にランディングギアが付いているので機体下部を確認しながらの離発着でした。
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一回の散水量は400〜8・900Lだったような気がします。
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帰投

 

その後再度おおるりが飛来
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吸水中のおおるり

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帰投の為着陸

 

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帰投時の1コマ

 

2日目の朝(発災から4日目)

朝イチで再度ヘリコプターによる上空偵察を実施。

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上空偵察の結果、空中消火が必要との事で広域応援へ

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おおるりによる消火の実施
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ヘリテレビによる情報収集を行う地上隊
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活動限界の為、帰投準備を行なっている様子。

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本日の活動を終え、基地に帰投するおおるり

近隣住民の方々が手を振るのに応える隊員。

 

その後、ふくしまが飛来
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途中吸水方法を自吸水から消防吸水に切り替える為、LZ変更
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消防吸水実施中
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地上隊に合図する隊員
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散水してる様子がほんの少しだけ見えました。
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※高い技術を持つパイロットと隊員がピンポイントで散水を行う為現場の評判は良かったようです。

 

 

 

航空小隊の活動が終了した後に宿営地(前進基地)に立ち寄りましたが、現場から帰ってきて一旦休憩を取る隊員、消防車に乗り込み現場へ向かう隊員…言葉に中々表せない状況でした。

 

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拠点形成車 この車は5年10年と動かずに税金の無駄と言われる方が平和な証拠で良いのですが、実際に出場していました。

働いているところを初めて見ました。
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広域応援で来た車両

高速道路を使って1時間ほどかかるところから来てました。

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集結場所(宿営地)になった総合運動公園

 

そもそも何故、自衛隊が消火に当たらなかったのかと思う方もいるでしょう。

実際に自衛隊災害派遣要請を出すという案も出ていたようです。確かに山林火災では、陸上自衛隊のCH-47チヌークを使うのがほぼ当たり前のようになっています。しかし、ここは田舎ながらも民家や倉庫がある街の郊外です。 現場付近には農業施設や飼育小屋などがあり、散水を行うとダウンウォッシュの風圧や水圧によりかえって付近の建物などに被害をもたらすという懸念があった為断念しました。 2つ目の理由としては、LZの確保が難しい点です。林野火災の場合、現場付近には陸上競技場などが併設された大きな公園などの土地や河川敷がある事が殆どですが、この現場付近にはなく、チヌークサイズの運用は不可能といった事も断念の理由となりました。 これは自論ですが、連携の難しさなどもあったと思います。今までの活動を見ると、自衛隊と消防の同時消火活動は中々難しく、林野火災でも○○時より自衛隊が消火を行う為、消防は待機・自衛隊は火点○側を散水、消防は火点□側を散水と連携を取ってるようで、同じ空域に入らない事が多いと感じてます。こういった理由の為、UH-1による散水も行わなかったと思われます。

 

このようにして、5〜6日間ほど航空機なども用いて消火活動を行いました。

 

参考に…

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産経新聞ニュースより

火災が起きている範囲は約2万平方メートルで、高さ10~20メートルほどに積まれた電子レンジや冷蔵庫といった家電が燃えた。

 

こうして燃え続けた火災は13日目にしてようやく鎮火しました。

最終的なプレスリリースを見ると、この火災はプラスチックゴミに紛れたリチウムイオンバッテリーの発火が原因だったようです。

 

まぁいいやという気持ちで捨てているゴミは時として大惨事になる場合があるので、地球のためにも、世の中のためにも最低限は分別して下さい。

 

終わり。

 

 

追記

写真は現場管轄の消防をはじめとした各機関に提供致しました。資料として文書に使用されたり、今後の教育資料に使用していただいてるようです